合格体験談(第16回認定考査試験 横山 正美さん)

体験記の執筆者は、庵主が前年度に関わりをもった受講者の中から、読者の参考になりそうな人たちを厳選しました。
予備校で出す体験記とはひと味違う視点(つまり「本音」)で執筆するよう要請しておきました。

特別研修から認定考査試験までの取り組み方についてお話させていただきます。

全体

受講講座
・霞が関方丈庵
・認定考査対策講座(伊藤塾)
参考資料
・認定司法書士への道(弘文堂・蛭町浩著)
・要件事実の考え方と実務(民事法研究会・加藤新太郎・細野敦著)
・簡裁訴訟代理等関係業務の手引き(日本加除出版・日本司法書士会連合会編)

私は、平成28年度司法書士試験の合格発表後、予備校(伊藤塾)の認定考査対策講座を受講しました。本試験に合格したら受講しようと前から決めていたので、割引もあり即日申し込みました。

11月の初めから年内は、テキスト「認定司法書士への道」(弘文堂 蛭町浩著)を中心にライブで講座を受講しました。私は性格上、時間と場所を拘束しないと気合が入らないので、ライブでの受講にしました。

更に、前年の認定考査合格者から、小山先生の霞が関方丈庵のお話をお聞きし、彼女が「昨年同じ講座があれば絶対に受講していた」と言われ、受講料も費用対効果が高いと判断して受講しました。

予備校のクラスは、認定考査合格のための要件と過去問が中心ですが、小山先生の講座は特別研修も踏まえての内容でしたので、研修受講の心構えであったり、特別研修中の訴状の書き方だったりプラスの要素がありましたので、受講して良かったです。認定考査中に必要個所の講座を聞き直したりパラレルに活用していました。

また同じ内容でも講師によって説明の仕方や解釈が違いますので、過去問の解説でも様々な角度で聞けて理解が深まったと思います。

勉強方法

予備校はライブでの受講+インターネットでの視聴を1回づつ行いました。

年内はライブで受講し、1月にインターネットで復習し、ブロック新人研修が終わってから、小山先生の講座を聞き始めました。1月の末から特別研修が始まりましたので、研修がない日に講座は聞き終えましたが、特別研修中は課題も出ますので、特別研修が終わるまでは特別研修に集中して過去問などにはまだ手を付けずにいました。

小山先生の講座も、過去問解説は特別研修の後で良いですが、前半部分は特別講座前に受けておくことをおすすめします。

神奈川県は、特別研修後にすぐ後期の配属研修が始まりましたので、時間は制限されていましたが、1日1年づつ過去問を解いてゆきました。過去問は、予備校の講座に付いていましたので、これを使いました。

最終的に全ての新人研修が終了したのが4月1日でしたので、そこから2か月間は認定考査の勉強にシフトしてゆきました。過去問は何度か繰り返しました。だいたい3回はやったと思います。直近5年の過去問はプラスで解きました。

他に予備校の模擬試験も4回ありましたし、小山先生の講座でも模擬試験がありましたので、本番のシュミレーションとして時間配分も考えながら解きました。

予備校のライブでの受講のメリットは、直接講師に質問できる点でしたので、不明な点などは講義までに整理してまとめて解決していました。

また予備校の教材で過去問の他にケース別のドリルがありましたので、書く練習は毎日繰り返し行いました。過去問は、年度別に解いたり、訴訟物別にまとめて解いたりしてました。
また、簡裁訴訟代理等関係業務の業務範囲と業務規制の重要性も最初から先生に言われていました。要件事実と違いこちらは勉強すれば必ず点がとれるのだから、満点20点をとるつもりで取り組みなさいといわれていましたので、当初から「簡裁訴訟代理等関係業務の手引」(日本加除出版・日本司法書士連合会編)のQ&Aも何度も読みました。特に過去問で出題されている問題は焼き直しが多いので過去問の回答が書けるくらいやったほうが良いと思います。認定考査は、70点満点中40点以上が合格なので、業務範囲と業務規制で20点近くとれれば、要件事実で半分でも合格できるという計算が成り立ちます。

私は、働きながら勉強して合格できる自信がありませんでしたので、認定考査試験が終わるまでは就職も就活も考えていませんでした。ただ、研修終了後の打ち上げで声をかけていただいた事務所があり、就職先はすぐに決まりました。しかし、認定考査が終わるまで就業は待っていただきました。

小山先生も、仕事をしながら勉強して合格できるほど甘くはないとおっしゃっていましたが、自分の性格を考え、後悔したくなかったので、勉強を優先させました。同期の皆が就職して経験を積んでいるのを横目にみながらではありましたが、自分は専念して良かったと思っています。司法書士会のHPをみれば求人広告はいつでも出ていますし、就職はできますので、焦る必要はないと思います。

試験当日

試験当日は、想定より時間はかかりましたが、時間内にはおさまり比較的に落ち着いて解けたと思います。模擬試験などで、時間配分も図ってましたし、設問読み込み時の重要個所の色分けや、X,Yの言い分の色分けもあらかじめ決めてありましたので、当日は落ち着いて励行できたと思います。

本試験と違い、認定考査は試験後に速報が出るわけではありません。私は一緒にに勉強してきた仲間と帰りにお茶しながら答え合わせをしました。合格発表の後は、答案の開示請求をして、おさらいもしました。

最後に

平成29年度の認定考査は、年々合格率が落ちてきており57.5%と過去最低でした。合格は相対ではなく絶対なので、特別研修を受けた新鮮な記憶のうちに勉強して合格を手に入れたほうが良いと思います。簡易裁判所での少額訴訟代理だけでなく、調停員の登録の前提としても必要な資格でもあるので、仕事の幅を広げたいとお思いの方は、短期集中、費用対効果及び自分の可処分時間と性格などを棚卸して、スケジュールを立てて臨むのが良いかと思います。

認定考査を受ける受けないもそうですが、司法書士になった後、受けることのできる様々な研修や講座がありますので、業務の幅を広げる勉強をするも、専門的に深堀りする勉強をするも個人の自由と責任になります。ただ、要件事実や司法書士倫理は基礎となる知識ですので、いずれにしてもしっかり身に着けておくべきものだと思います。

みなさまの検討をお祈り申し上げます。徒然に書きましたが、一助になれば幸いです。