【H29年度 司法書士認定考査】合格・不合格者へメッセージ

1 平成29年度の司法書士(筆記)試験の合格、おめでとうございます

  (第16回認定考査に落第した人は、6をご覧下さい)。

多くの人は、まだ合格の実感が湧かないかも知れませんね。
それどころか、合格通知の取消通知書が来るのでは?
と思って、気もそぞろに郵便受けを覗いている方はないでしょうか?
あるいは、余裕綽々で慶びの余韻に浸っている方もあるでしょう。

 ともあれ、合格という事実は既定のものになりました。
 安心して下さい。合格取消通知書は来ません。
 選抜試験とは、そのようなものです。
 受験生活に訣別して、次のステージへ歩を進めましょう。

  なお、口述試験は喫緊の懸案事項ですよね。
 何しろ、筆記試験から時間が経って、すっかり忘れましたからね?
 でも、指定日時に出頭すれば必ず合格します。
 筆記試験を替玉受験していなかったことをチェックする試験ですから。
 つまり、実力不足を理由に落とされた例はありません。
  ともあれ、まずは合格おめでとうございます。

※H30年度口述試験に関しては、無料で小山弘先生自ら、事前対策を行います。
詳しくはこちら (霞が関方丈庵 事務局より)

2 就活?

  老婆心ながら、ここでひと言。
 皆さんの中には、早速、就活をする方があると思います。
 同世代の人たちに比べて、出遅れ感(?)があるはずです。
 これは、一日も早く挽回したいですよね?
 実務の世界を早く覗いてみたい方もあるでしょう。
 また、生活費を稼ぐ必要に迫られている方もあるでしょうし、
 それとも受験時代の先行投資の回収に精出しますか?

  でも、この時期の就活は考えものです。
 実務の世界は、焦って足を踏み入れるようなところではありません。
 事務所への就職は、研修をひととおり了えた後にするのが賢明です。
 今は、その秋ではありません。
  新人研修は義務化されていないとはいえ、
 研修も受けていない者が就職するのは、自分を安売りすることです。

  なお、それでも聞く耳を持たず就職する人にひと言。
 右も左も分からないような新人を受け入れるような事務所は、
 いわゆるブラック法人であるかも知れません。
 人を新たに募集するのは、辞めた者があるからです。
 人が退職するのは、相応の理由があるからでしょう。
 就職した後になってこの道理(?)に気付いても、後の祭りです。
 皆さんは、合格の喜びに舞い上がっていて、ここで申し上げることは
 おそらく他人事にしか聞こえないでしょうが、よく考えて下さい。
 やむをえず生活費を稼ぎたいのであれば、
 時間給のアルバイトが無難です。

3 一つの提案

  さて、ひと息ついた後は、気持ちを切り替えて、
 今後の身の振り方を考えましょう。
 いつまでも浮かれていると、研修が始まる頃になって後悔します。

  司法書士の資格は、社会で活かしてこそ価値があります。
 この資格を活かすためには、幾多の研修をクリアしなければなりません。
 まさか、「司法書士の資格があれば世渡りをする上で有利だろう」、
 などと思っているオメデタイ人はありませんよね。
 残念ながら、この資格は、皆さんが考えているほどには
 ツブシは利きません。
 資格を得たことは、ここら辺りでスッパリ忘れて下さい。

4 特別研修について

  新人向けの研修のハイライトは、『司法書士特別研修』です。
 この研修は、例年、1月下旬~3月上旬(主に週末。平日も数日)に
 実施されます。

  なお、それに先立つ1月上旬~下旬は、連合会の中央新人研修や
 ブロック研修(全国の司法書士会を8ブロックに分けて実施される)が
 実施されます。

  このように、年が明けると、研修に明け暮れます。
 文字どおり、息つくヒマもありません。
 つまり、年が明けると、特別研修に備えてじっくり予習する時間はない、
 ということです。皆さんは実感が湧かないでしょうが、
 この現実は知っておくべきです。

  特別研修は、まず無事に修了すること自体がひと仕事です。
 すなわち、時間、知力、体力、金力そして気力が求められます。
 期間にして正味約1か月間ではありますが、総力戦です。
 風聞を耳にしている人もあるかも知れませんが、
 司法書士試験よりキツイと音を上げる人もあります。

  特別研修の概要(日程、費用、内容他)については、『特別研修の紹介』をご覧下さい。

  また、『特別研修の受講体験記(認定考査の合格体験記)
 も読んでみて下さい。
 体験記の執筆者は、庵主が前年度に関わりをもった受講者の中から、
 読者の参考になりそうな人たちを厳選しました。
 予備校で出す体験記とはひと味違う視点(つまり「本音」)で
 執筆するよう要請しておきました。

5 認定考査というもの

  特別研修のような厳しい(?)研修を修了すれば、
 何か報償が与えられてもよさそうですよね。
 例えば、簡裁代理権の資格を漏れなく付与するとか。
 ところが、何と、まったく何らの特典もありません。
 与えられるのは、認定考査の「受験資格」だけです。

  特別研修が終了して3か月後に、『認定考査』が実施されます。
 この考査に合格して初めて認定司法書士になれます。

 『考査』とは、やや古風な響きがありますね。
 『試験』とはどう違うのでしょうか?
 手元の『大辞林』には、次のように書いてあります。
 考査とは、「能力や性格などを調べて判断すること。
 学校で生徒の学習到達度を調べるために行われる試験。」

  要するに、特別研修を受けて相応の成果を上げたかどうかを
 チェックするためのテストです。
 研修の終了後にテストをするとは、性悪説というものでは?
 ともあれ、テストが課されるというからには、
 特別研修を受けても「相応の成果を上げられなかった」人がある、
 という含意を読み取るべきですね。

  そこで、合格率が気になります。
 考査は、選抜試験ではありません。
 したがって、合格者の数は制限されていません。
 特別研修の成果が上がったと評価されれば、
 全員がパスしてもいいわけです。
 しかし、現実はそう甘くはありません。

  直近の3年間の合格率は、おおむね6割5分です。
 言い換えると、100人のうち35人は落第します。
 何とも、微妙な数字ですね(ちなみに、第16回考査(平成29年実施)
 の合格率は、57・5%でした)。
 つい先頃、同じく司法書士試験に合格した者のうち、
 65人だけが合格し、残りの35名は落第するという現実。
 司法書士という国家資格は平等だと思って、
 安逸な日々をうち過ごしていると、
 認定考査を受ける頃には、決定的な差がついているわけです。
 「平等」に馴らされ、「格差」を批判しないと気の済まない人にとっては、
 耐えがたい不平等ですね。
 でも、これは現実です。

  閑話休題。
 厳しい話は、このくらいでやめましょう。
 せっかく司法書士試験に合格したのですから、
 前向きの姿勢で臨みましょう。
 「前向きの姿勢」とは?
 ことは、単純です。
 勉強すればいいのです。

  では、いつ勉強を始めるべきか?
 年が明けると、研修を受けるだけで精一杯で予習する時間はない、
 ということでしたね。
 となれば、そのタイミングは「年内」しかないでしょう。

  何を、どう勉強すべきか?
 皆さんの手元には、やがて連合会から研修教材が届きます。
 いささかウンザリするような量の教材が。
 小学1年生は、新しい教科書やランドセルに胸を躍らせますが、
 この教材もそうだといいですね?
 ところが、実はそうではありません。
 優れた教材ではありますが、多くの人にとっては、難しい。
 つまり、独力でこれに取りつくのは、困難です。

  そこで、必読図書や参考文献が同時に紹介されます。
 しかし、その文献案内を見ると、凡夫はさらに途方に暮れます。
 まず、その量に圧倒されます。
 新人の皆さんは、人生の垢に染まっていない人が多いので、
 「これを全部買い揃えなければならないのだろうか?」と
 殊勝な疑問が湧くかも知れません。あるいは、
 「全部買うと、破産してしまう」といって悲鳴を上げる人があるかも。

  ただ、この疑問や悲鳴は、所詮はお金のレベルの問題です。
 買う余力があれば、買えばいいでしょう。
 問題は、そういうところにはありません。
 実は、仮に大金をはたいて購入したとしても、
 内容的にそれらの文献を独力で読みこなすのは難しいのです。
 何しろ、多くの人にとって、実務のための勉強は初めてですからね。

6 認定考査になかなか合格できない人へ

 認定考査に落第する理由は、庵主の考えるところでは、次の三つです。
 1 オツムの悪い人
 2 準備不足の人(特別研修での勉強が足りなかった人)
 3 50歳代以上の受験高齢者

 1の「オツムの悪い人」とは、何とも無礼なもの言いですが、
100時間にも及ぶ特別研修を受講してもなお合格できない以上、
能力が疑われるのは当然でしょう。
例えば、所有権と賃借権の区別がつかないようなレベルの人は、
何回受けても合格できません。

 3に該当する人は、少なくないと思います。
すなわち、考査の問題文は、12ポイントの活字で組まれたA4版用紙
6ページ程度の分量があります。
これを、2時間で、「読み」、「考え」、解答を「記載」しなければなりません。
したがって、まず視力の衰えは大問題です。50歳代以上であっても、
適度な速さで文字を読めれば問題はありません。
 次に、筆力(適度の大きさの文字をボールペンで書く力。練れた文章を
書く力には非ず)の問題もあります。
解答用紙の枠からはみ出さないように書くことは、意外に難しいものです。
これは、加齢とともに難しくなります。

 ともあれ、50歳代以上の受験高齢者には、以上のとおりの身体上の
ハンディがあります。
これらは、法的思考力の問題には非ず、医療のレベルの問題ですので、
心得違いをなさらないよう。

 庵主が問いかけたい人は、2の人です。
皆さんは、第16回考査に落ちた理由(敗因)を分析なさいましたか?
敗因を究明しないまま次回の合格を目指しても、埒はあきません。
落ちるからにはそれなりの原因があるはずですから、それを克服しない
まま勉強を再開しても、今年と同じ憂き目を見るのは必定。
要するに、考査では知的能力が試されます。
精神論は通用しません。

メッセージの続きはこちら
認定考査に落ちた方へ

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