令和4年度(第21回特別研修・認定考査)合格体験記

令和4年度(第21回特別研修・認定考査)合格体験記

S・S(匿名希望)

1 自己紹介

私は、令和3年度の司法書士試験に合格しました。アラフィフです。その翌年の夏から中規模の

決済事務所に勤務し始めました。     この事務所に勤務するまでは、法律関係の業務経験はまったく

ありませんでした。

2 特別研修、認定考査の概要(タイムスケジュール)

(1)特別研修(いわゆる100時間研修)の実施時期

5月末~7月初(コロナ禍により年度毎で変動があり一定しない)

(2)特別研修の主な内容

①「基本講義Ⅰ・Ⅱ」(合計12時間)

期限(Ⅰは6月中旬、Ⅱは6月末まで)までに、受講者各自でWeb視聴する形式で行われた。

講義の内容は、主に民事訴訟の基礎知識である。

②「グループ研修」、「ゼミナール」、「総合講義」(合計59時間)

事前課題が与えられ、これを予め各自で起案して研修に臨むよう求められる。

これらの研修は、6月の週末(土・日曜日)、Zoomによるゼミスタイルで実施された。

グループ研修(1クラス15名程度で編成)は認定司法書士がチューターとなり、ゼミ

ナール及び総合講義(2グループ合計30名程度で編成)は弁護士が講師となった。それら

のゼミにおいては、時間中に最低1回はチューターや講師から指名されて回答を促された。

③「模擬裁判」(合計13時間)

金銭請求事件及び建物明渡請求事件の事案が与えられて、事前に受講者各自で訴状等を

起案しておくよう求められる。6月末と7月頭の土曜日に、実際の法廷に準えて、リアルで

口頭弁論期日の冒頭の手続から判決、和解に至るまでの手続を実演する形式で開催された。

④ 法廷傍聴等の「実務研修」(合計16時間)

簡易裁判所において、実際の訴訟事件の審理を傍聴する(回数にして2回)。ほかに、

簡裁の手続について簡裁判事によるZoom講義があった。

(3)認定考査

9月11日(日)、全国の各管区の法務局において実施された。試験時間は2時間(13:00

~15:00)で、解答形式は論述式である。合格発表は、12月上旬であった。

3 特別研修受講前の心境等

今思えば恥ずかしいですが、簡裁代理の認定資格は司法書士試験合格者の誰もが取るもので

あり自分も取っておくべき、程度の認識でした。また、研修は遅刻や欠席をせず出席さえして

いれば大丈夫だという風聞を耳にしました。それに、研修のスケジュールによると、Web視聴

やZoom受講が多かったため、リアル開催よりは欠席や遅刻のリスクが低いのでは、と安易に

捉えていました。今思えば、肝心の研修内容のイメージが出来ず、そうした雑念ばかりが先行

していました。

認定考査対策についても、特に考えていませんでした。というのは、周囲では某予備校本を

受験勉強的に何回回して暗記すれば大丈夫という話がもっぱらでした。そのため、私も特別研

修を受講するまでは、そうした取り組み方で臨むしかないかと思っていました。研修もまだ始

まっていない時期でもあり、考査が遠い先の事のように思われ、するべきことが具体的に見え

ていませんでした。

かといって、何もしないわけにもいかず、少しは勉強しておくべきだろうと思って、学者本

や実務用の参考書を手に取ってみたりもしました。しかし、それらの書籍を手にしても、内容

は全く頭に入りませんでした。それらは、受験の視点からは書かれていないからです。

4 霞が関方丈庵の講座

(1)  講座との出会い

そのような状況の中、認定考査関係でネットサーフィンしていたある時、「方丈庵」

のサイトに偶然出会いました。小山先生のお名前もその時、初めて知りました。サイト

のトップ画面には、認定考査のみならず特別研修の意義についてのコメントがあり、ま

た過年度の方の合格体験記を拝見し、何か不思議と惹かれました。そして受講料が廉価

なこともあり、早速講座を申し込みました。併せて、先生の書籍(*)も購入しました。

* 小山 弘『ながめてわかる!認定考査対策と要件事実の基礎』(日本加除出版)

(2)  講座の受講、書籍について

先生の講座を視聴し、内容に衝撃を受け、目から鱗となることが連続でした。研修と

考査の内容は別物でなく繋がっており裁判業務を行うのに必要なことを学ぶ研修である

こと、そして簡裁代理権をもつことの重みに改めて気づかされました。研修は民訴法の

勉強もさることながら、実体法の理解が本質であること。また、訴訟物、請求原因、立

証等の考え方、書面の書き方の作法についても解説されていて、頭の中の交通整理に大

いに有益でした。なにより、合格者の平均年齢が40歳を超えていることを念頭にお話し

なさっていて、学習の進め方のアドバイスや配慮をされているのが、とても心強く感じ

られました。

また、書籍は研修の疑似体験が出来る形式になっていて、予め具体的なイメージを先

取りして研修に臨むことが出来ました。書籍のサイズは文字も含めて考査問題と同様で

あり、読むだけで考査対策になりました。研修前にこの講座を受講し、この書籍を読ん

だことにより、専門書や学者本も読みやすくなっていた自分を発見しました。しかし、

いわゆるハウツウ本とはまったく違いますので、考査対策用に手っ取り早く暗記したい

人には向きません。したがって、暗記に飽き足らず、自分の頭で考えてみたい人にだけ

一読を勧めます。

なお、考査では、問題文を自分の頭で考え、自分なりの解答をすることが求められます。

暗記しているだけでは、苦戦を強いられるでしょう。

(3)  特別研修の受講中

研修そのものは、先生の講義、書籍によりほぼイメージができていましたので、事前課題

もさしたる抵抗もなくこなすことが出来ました。また、研修中のチューターからの質問や

グループ討議にも慌てることなく回答や応答が出来たかと思います(要件事実論では、いわ

ば「勘どころ」とか「肝(キモ)」というものがあるのですが、この講座ではそうしたポイ

ントを手ほどきされていましたので、チューターの手の内が読めました。)。本試験の受験

勉強とは違って正解というものはないこと、あるいは自分で考えて検討する過程が大事であ

り、実務のための基礎学習であるということを研修中に改めて感じました。

特別研修の形式はWebがメインであるため、チューターや他の受講生との議論や質問の時

間に大きな制約があり、コミュニケーションが希薄になりがちでした。また、事前課題は独

習に近い状態でしたので、先生の講義及び書籍にはその点でも大いに助けられました。話が

逸れますが、Zoomでの半日拘束状態は体力的にも精神的にも大変疲れました。

5 認定考査対策について

(1)  研修終了から認定考査まで

研修終了後、考査までは2か月程度ありますが、これに油断してはいけません。というのは、

私は考査前に事務所勤務を開始したため、勤務し始めると、正直なところ、精神的にも体力的

にも疲弊しきってしまい、勉強する意欲が減退し、さほど勉強時間を取れませんでした。休日

を含めて一日1時間程度が精一杯でした。勤務経験のない方は、事務所勤務は、事情が許すなら、

認定考査終了後にするのが望ましいと思います。

(2)   研修の復習について

毎日、先生の講座のレジュメ及び解説動画を時間があればリピート視聴しました。また、先生

の書籍の過去問集(*)には、隙間時間で頻繁に目を通しました。そして、書く練習として『新

問題研究』の設問と『簡裁訴訟等関係業務の手引』を、ドリルのように毎日1問ずつ解きました。

8月に入ってからは、時間配分の対策のために模試問題も解きました。

* 小山 弘『司法書士認定考査 過去問題・解答集』(日本加除出版)

(3)考査問題について

出題問題中、抗弁、再抗弁、相殺のことを書かせるところは、先生の講義内容が浮かび、大い

に助かりました。問題文の記載量が多く、また、XやYの言い分も、いろいろと入り混じった中

で読み取りにも時間を要する出題でしたが、落ち着いて解答することができたかと思います。

(4)   合格発表

合格を確認したときは、嬉しさや安堵というより、この資格を実務でどう活かしていこうか、

また今後どのように勉強すべきかということが念頭に浮かび、まだ始まったばかりだなという

気持ちが湧いてきました。

6 最後に

特別研修、認定考査自体が市井の資格試験とは違い、事前情報や対策特化のテキストも少ない中、

さらにコロナ禍も加わり、情報収集が難しく、また孤独になりがちなところ、先生の講座及び書籍

には大いに助けられました。ありがとうございました。

考査に合格できたのは、ささやかながらも自分の頭で考える習慣が身についたからだろうと思い

ます。しかし、まだスタート地点に立ったばかりであることを肝に銘じて、今後、研修で学んだこ

とを実務で活かせるよう研鑽を積んでいきたいと思います。

以上